トルクツール・・・
所定のトルクでネジ類を締め付けるために使う工具です。
トルクレンチやトルクドライバーなどがありますね。
このトルクツール
カーボン素材のロードバイクを扱う場合は
ネジの締め過ぎによるカーボンの破損を防止するために欠かせないものだと思っています。
そんなトルクツールを私も使っています。
で、いま私の手元には2つのトルクツールがありまして
高価なものと安価なもの
2つのトルクツールがあります。
せっかくですからこの2つ
使用感など記事にしてみます。
目次
高価なトルクツール
PB SWISS TOOLS
私が長年使っているトルクツールは
PB SWISS TOOLS の「PB 8325」です。
交換用ブレードがセットになった
「PB 8325 Set A1」という商品を
6年前に 25,000円くらいで購入しました。
このツールを購入するとき
ずいぶんと悩んだ記憶があります。
工具に2万5千円も、、
高価だよ
でも、、
欲しいよ
こんな感じで
悩みましたねー
でもまあ悩んでるうちに
どんどんと欲しい気持ちが膨らんで
、、買いました。
そんな高価な PB SWISS
その特長は
高価な PB SWISS
その特徴は
- トルク管理がきちんとできる
簡単に正確で精度の高いトルク設定が可能。 - PB SWISS TOOLSというメーカー
スイスにある工具メーカー「ピービ―スイスツールズ」
高い精度に仕上がったPB SWISSの工具が私は大好き。
ドライバーや六角(ヘックス)レンチなどはPB SWISS製品を愛用しています。 - トルク調整範囲は 3.2 ~ 16.0 Nm
ロードバイクの整備にちょうどよいトルク調整範囲。 - 独特のグリップ
ピストルのような形状のグリップ。
片手持ちでも扱いやすく、大きな力で回すことができる。
安価なトルクツール
LifeLine – X-Tools
そんなにお金を出さなくても、、
そんなにお金を出したくない、、
ならば
こんなリーズナブルなトルクレンチもありますよ。
LifeLine – X-Tools Essential トルクレンチセット
Wiggleで3,500円程度で販売されています。
やすっ!
なんですかこの安さは。
大丈夫なんでしょうか?
こんなに安くて、、
気になります。
ということで
買ってみました。
安価な LifeLine
その特徴は
- おおざっぱだけどトルク管理ができる
トルク設定はアナログでかなりラフな感じ。 - LifeLineというブランド
Wiggleのオリジナルブランド「LifeLine」
自転車パーツやツールなどが揃っています。
LifeLine その特長はズバリ 安さ でしょう。 - トルク調整範囲 2 ~ 24 Nm
MAX 24 Nm 、、
けっこう高いトルクまでカバーしてる。 - レンチタイプ
小型ですがレンチタイプなので
大きな力を加えられそうです。
ではここからは
それぞれのトルクツールを実際に使いながらレポートします。
トルクの設定方法
トルクの設定は?
どうやるんでしょうか。
PB SWISS の場合
まずは PB SWISS。
こちらの六角棒ドライバーを使ってトルク設定を行います。
トルクツールのブレード差込み口に六角棒ドライバーを差し込み左右に回すことでトルクを設定します。
トルク値はグリップエンドに0.1Nm刻みでデジタル表示されます。
この表示を見ながら設定するトルクに調整する。
六角棒ドライバーを右に回せばトルクは上がる、左に回せばトルクは下がる。じつに簡単です。
ちょっとおかしいなと思うこと・・・
なぜだか 4.0Nm に合わせるのが難しいんです。
3.8、3.9ときて4.2になる。
なぜか3.9から4.2に飛ぶ。
ごくまれに4.0となることもあるが・・・
私の買ったモノのクセなのか?
まとめ、感想
- トルク設定は簡単
六角棒ドライバーを使います。 - デジタル表示で正確な設定ができる
設定値が明確です。 - 0.1Nm 単位という細かさ
けれど0.1刻みでうまく設定できないこともある。
LifeLine の場合
LifeLine のトルク設定はレンチのグリップ(黒い部分)を左右に回すことで行います。
グリップを回すとトルク設定目盛りの中を赤いインジケーターが上下しますので、これを設定する値に合わせます。右に回せば上昇、左に回せば下降します。難しいことはありません。
でもトルク値の目盛りは 2Nm刻みとおおざっぱ。
おまけにちっちゃな目盛り。
なので正確な設定は困難かと。
例えば 6.5Nm に合わせるとか・・・無理っぽいよね。
注意
グリップは固定されてない・・・
このトルクレンチを使ってネジ締めするとき
グリップを握るでしょ
するとね・・・
・うっかりグリップ回る
・そしたらトルク設定ズレる
そんなことが起るんですよね。
注意です。
グリップが固定できればいいのだが。
まとめ、感想
- トルク設定は簡単
グリップを回せばOK。
ただしグリップは固定できない。 - 使用中にグリップが回ってしまい設定がズレることがある。
- アナログ目盛りなので
正確な設定は難しい。 - しかも目盛りは 2Nm 刻み
そのうえ目盛りは小さい。
これでは細かい設定は無理。
設定トルクに達したとき
ネジを締めつけていきトルクが設定した値に達したときの作動です。
PB SWISS の場合
PB SWISS の場合、設定トルクに達すると空転します。
カンッ!
と ややデカい音がして空転します。
さらに締めこもうとしても
カンッ!カンッ!・・・と空回りするので
設定トルク以上に締めこむ心配がありません。
まとめ、感想
- 設定トルクに到達すると音!そして空転!
耳と手にはっきりと伝わるシグナル。 - 空転するからトルクをかけ過ぎない。
安心です。
LifeLine の場合
LifeLine ではどうか。
設定したトルクに達すると
コクッ・・・
ほんのわずかに首が曲がり
かすかなショックが手に伝わります。
そしてハンドル中ほどにある黒いぽっちがポコッと飛び出します。
これがトルク到達のサインです。
ここで締めこみを止めます。
ひとこと・・・
首の曲がり方といい
手に伝わるショックといい
とても地味なので気づきにくいかも・・・
ですので
飛び出す黒いぽっちに手を触れて作業すれば
トルク到達のサインが分かりやすいと思います。
注意・・・
トルクに到達して首が曲がった状態となっても空転などしてくれません。
そのままどんどん締めこんでいけます。
オーバートルクにならないように、首が曲がったらすぐに締めこみは止めましょう。
握る位置について・・・
細かいことを言ってしまいますと
今回紹介したタイプ(首が曲がる)のトルクレンチは、グリップを握る位置によってネジにかかるトルクが変わってしまいます。だから正しい握る位置(力点)が決まっていて(おそらくグリップの中心)そこに力を加える必要があるはずなんです。でもこの LifeLine の力点はどこなのか?不明です。グリップ中心なのかな、、だとしたらグリップが回わらないように慎重に、、
まあこのトルクレンチでそこまで気にしなくてもいいのかな とも思いますが・・・。
握る位置とトルクについての解説はこちらの記事が参考になります。
トルクレンチの仕組みと構造から持つ位置でトルクが変わる理由を考える
トルクレンチの使い方〜設定や注意点 管理方法まで〜
まとめ、感想
- 設定トルクに到達したらシグナル発信
・わずかに首が曲がる
・かすかなショックが伝わる
・ぽっちが飛び出す
シグナルを見逃さないように。 - 設定トルクに達したら締めこみを止める
空転しません。
トルク到達のシグナルで締めこみを止めましょう。
ビット
ビットについても触れておきたいと思います。
こちらの画像は六角レンチ (5mm) のビットを比較したもので
左が PB SWISS 、右が LifeLine です。
PB SWISS に比べ LifeLine は先端の面取り(角の丸み)が多いですね。
こういう面取りが多い六角レンチだと
先端部分の角が多めに削られていますので
ボルトの六角穴へのかかりが少なくなるのでは?
と思ったのには理由がありまして
2つのトルクツールをテストする中で
クランク(シマノ105)の六角5mm ボルトを12Nmのトルク設定で締めこんだところ、PB SWISS は問題なくできます。でも LifeLine のビットはトルクが大きくなるとボルト穴の角をなめそうになります。
ツルっとなめそう・・・ヤバいよ。
どうしてだろうと観察すると
このクランクのボルトですが
六角穴がやや浅いような・・・
六角レンチが深く入りきらないような・・・
私にはそんな風に見えるんです。
ここからは
あくまで私の推測になりますが
六角穴が浅いボルトに、面取りが多い六角レンチ
という組み合わせ
- ボルトの六角穴が浅い
六角レンチの先端しか入らない - 面取りの多い六角レンチ
六角レンチ先端の角は多めに削られている
先端の角が取れた六角レンチを
その先っちょだけボルト穴に入れて
ぐいぐい回す
ツルっ、、
ということで
なめそうになるのかな、、
ちなみに LifeLine
もっとしっかり六角レンチが入る別の六角5mm ボルトで同じようにトルク設定12Nm で締めこんでみたら、こちらはOKでした。六角レンチがしっかり入っていれば大丈夫。ちゃんと使えます!
まとめ、感想
- LifeLine の六角レンチビットは
先端の面取りがちょっと多い。 - 六角レンチの入りが浅いとき
使っていて「なめそう」などと不安を感じたら無理をしないことです。
ほんとにボルト穴をなめてしまったら最悪ですから。
トルク精度
トルクツールの精度はどうなのでしょう。
- PB SWISS は保証精度 ±6%
- LIfeLine は 不明
PB SWISS は ±6%の精度を保証すると言っております。
そして製品には検査証明書が添付されています。
※もちろん永久に保証するわけではなく定期的なチェックと校正が必要
いっぽう LifeLine は
残念ながら精度不明です。
分からない・・・
トルクのチェックと校正
私はトルクツールのトルクチェックと校正をまだやったことがありません。
トルクツールをそんなに頻繁に使うわけではないので、まあ大丈夫かなと思ってきました。
しかし購入からもう6年経過しました。
そろそろやった方がいいのではないか・・・
では
トルクのチェック、校正の方法はどうするか。
調べて考えました。
- メーカーに依頼する
メーカーが対応してくれるならの話
たぶん費用もかかる - 校正サービス業者に依頼する
有料で校正してくれる - 自力でやる
トルクチェッカーが必要
トルクチェッカーは高価
トルクチェッカー自体の校正も必要になってくる - トルクツールを新しく買い替える
購入費用がかかる
こんなところかなと思います。
PB SWISS の場合
ユーザーが自分でトルクツールを校正できます。
ただしトルクチェッカーが必要。
校正の様子はこちらのアニメーションで公開されています。
※私が持っているものとは異なるタイプ「メカトルク」の様子です。
まとめ、感想
私としては
- いずれにしても費用がかかる。
- だったらいっそ
トルクツールを新しくしようかな。
などと検討中です。
おわりに
今回は私が持っているトルクツールについて記事にしてみました。
PB SWISS
高価ですが使いやすく高性能です。
私のように趣味程度で使うにはもったいないかも、、
LifeLine
とにかく安価です。
さすがに性能は PB SWISS にかなわないと思いますが
精度にこだわらないのであれば、この値段でここまでの性能なら十分じゃないでしょうか。
Wiggle で購入者のレビューを見てみると高評価で満足されている方が多いことからも、使えるツールなんだと思います。
最後に
ロードバイクのパーツの多くには締め付けトルクが指定されています。
機材の性能を十分に発揮するためにも、そして安全のためにもトルクを意識した整備を心掛けたいものです。
とくにカーボン素材のフレーム、パーツを扱うなら
ボルトの締め過ぎでカーボンフレーム破損・・・
なんてことにならないためにもトルクツールは必須かと思います。
PB SWISS TOOLS サイトはこちら
LifeLine 商品一覧はこちら
PB 8325 Set A1
高価だけど高精度で使いやすい
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LifeLine – X-Tools
安い!
それなりに使える
Wiggle LifeLine – X-Tools Essential トルクレンチセット
PB 9325A
次に買うならこれかな、と思ってます。
PB SWISS TOOL のNEWタイプ
回転式グリップエンドでトルク設定
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